手術をお受けになる患者さまは誰でも皆不安な気持になりますが、それは手術結果に対してだけではありません。
『手術中の痛みに耐えられなかったらどうしよう』『全身麻酔中に目が覚めたら怖い』『手術が終わって意識が戻らないかもしれない』といった麻酔に関しても不安な気持ちを抱えてしまいます。
あなたは麻酔に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。
単に『手術の痛みを取るもの』『眠らせてしまうもの』と考えていらっしゃるかたも多いと思います。
しかし麻酔の役割はそれだけではありません。麻酔の効果によって手術の結果が左右される場合もありますし、何より手術中に麻酔が安定していないと危険な状態に陥る可能性があります。
このページをご覧いただいて、麻酔の種類や特徴、安全性などにご理解が深まりましたら、麻酔に対する不安も解消されると思います。
“エーブ クリニック”は、患者さまが不安やストレスの無いリラックスされた状態で手術をお受けいただくことが、手術の成功へのポイントの一つと考えております。
さて手術を行なうに当たって麻酔は必要不可欠ですが、何を目的として何のために麻酔をかけるのでしょうか。
『無痛の状態』にするためでしょうか?『眠った状態』でいるためでしょうか?いくつかの目的がありますが、全ては一つの目的に集約されます。それは『手術を安全に行なうため』です。
麻酔専門の医学では、全身麻酔の4大要素として、1.意識の消失(眠った状態にします)、2.鎮痛(痛みを無くすようにします)、3.有害反射の抑制(内臓に負担がかからないようにします)、4.筋弛緩(体の危険な動きを止めてしまいます)が、重要項目とされています。
最近は5大要素としまして5.ホメオシタシス(恒常性)の維持(体が安定している状態を保ちます)が、加えられています。
手術中は、「意識が無ければ痛みを感じることが無いから、それでOKだ!」ということではいけません。
麻酔がバランスよく効いていないと、患者さま自身は眠った状態にあっても、体が痛がっているため脈が速くなったり血圧が上昇したりします。
言わば、眠りながらマラソンをしている状態になり、内臓(特に心臓や肺)に負担がかかります。
そのような状態が長く続くと、もともと心臓に持病をお持ちのかたや、内科系の病気(高血圧、糖尿病、喘息、アレルギーなど)をお持ちのかたは、危険な状態に陥る場合があります。
手術中は麻酔専門医や医療スタッフが、常に患者さまの全身状態を観察し、安全管理に対する処置を適切に行なうことにより、その危険な状態を回避する事ができます。
医療事故が起こらないようにするためには、「未然防止:事故を未然に防ぐこと」を心がけることが大切です。
異常事態が発生してからの迅速な対応はもちろん必要ですが、異常事態を起こさないようにすることが麻酔をかける医師の重要な役割となります。
“エーブ クリニック”では、全ての患者さまが安定した状態で安全な手術が行なわれるように、麻酔専門の医師・医療スタッフが患者さまの安全管理に努めています。
麻酔による死亡発症頻度は22万人に1人、致死的な麻酔薬のアレルギー反応である悪性高熱症は5万人に1人、心肺停止に直結する肺塞栓症は10万人に3人の割合です。
交通事故と比較した場合、アメリカの統計ですが自動車に乗って死亡事故に遭遇する確率は1万人に3人、航空機に乗って死亡事故に遭遇する確率は10万人に1人なので、麻酔事故の発生件数はかなり少ないといえます。
数字から見ると極めて少ない件数ですが、医療事故、特に麻酔に関する事故は常に起こり得る可能性があります。
これだけ医療技術が進歩した現在においても、残念ながら事故発生率を0%にすることはできません。
しかし、常に安全管理にアンテナを張って「未然防止」を心がけていけば、限りなく0%に近づけることは可能です。
私たち“エーブ クリニック”は、事故発生率0%を目指して、絶えず全力で安全管理に努めます。
このページをご覧頂いて麻酔に対してのご理解が深まり、手術を受ける患者さまの不安が少しでもなくなりましたら大変嬉しく思います。